金融のしくみ

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実質賃金2年ぶりマイナス

厚生労働省が発表した2022年度の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によれば、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年度に比べて1.8%減っっており、このマイナスは2年ぶりとなり、新型コロナウイルス禍からの経済回復などにより名目の現金給与総額は増えたとはいえ、物価上昇が給与総額の伸びを上回り、賃金が目減りした形となっています。

お金と電卓
マイナス幅は消費増税の影響で物価が上がった14年度の2.9%減以来の大きさで、実質賃金を指数(20年平均=100)でみると22年度は98.8とコロナの影響が限定的な19年度の101.2を下回っています。

名目賃金にあたる22年度の従業員1人あたりの現金給与総額は、32万6308円で、前年度に比べて.9%増え、景気と連動する残業代などの所定外給与は4.1%増、賞与など特別に支払われた給与は4.5%と大きく増えていて、現金給与総額を就業形態別にみると正社員など一般労働者が2.3%増、パートタイム労働者が2.8%増となっており、合わせて労働時間も回復、月間の総実労働時間は、22年度が136.4時間と0.4%増え、所定外労働時間が3.9%増の10.2時間と伸びが目立っています。

実質賃金の算出で使う物価(持ち家の家賃換算分を除く総合指数)は3.8%で、今年の春季労使交渉では30年ぶりの高い賃上げ率が見込まれるとはいえ、足元では名目賃金の増加は物価上昇に追いついておらず、23年度後半には物価の伸びの鈍化もあり、実質賃金がプラスに転換する可能性が高まっています。