金融のしくみ

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円安への対処、悩む日銀

日銀が金融政策決定会合を開き、当面の金融政策を決めるのですが、3月以降、対ドルで一時14円以上進んだ円安やそれを背景とした物価上昇への対応に関心が集まっているのですが、現時点で日銀は本格的な利上げと距離を置くようです。

今のコストプッシュ型の物価上昇に持続性はないと見ているようで、新型コロナウイルス問題やウクライナ危機の景気への悪影響が懸念され続けている中、金融緩和政策の転換は適切ではないと考えているです。

当面の物価情勢について、4月以降消費者物価上昇率がいったん目標の2%に届く可能性がある点は日銀も認めており、携帯電話通信料引き下げの影響が弱まる上、ウクライナ危機などに起因する原材料価格高騰も物価を押し上げると考えており、今回の決定会合でまとめる新たな物価上昇率見通しも、2022年度については前回1月の1.1%を1%台後半に上方修正する方向のようです。

しかし、これはコストプッシュ型の「悪い物価上昇」で、力強い需要回復に引っ張られ、賃上げの広がりも伴う「良い物価上昇」でなく、長続きしないというのが日銀の受け止め方で、23年度以降の物価予想も2%との距離を印象付ける内容になりそうで、日銀は短期政策金利(日銀当座預金の一部金利、現行マイナス0.1%)や長期金利(10年物国債利回り)の誘導目標(現行ゼロ%程度)を引き上げる本格的な利上げには慎重になっています。

とはいえ、既に1ドル=130円も視野に入ってきた円相場が、5月以降さらに急ピッチで下落するなら、円売り圧力を金利面で和らげる措置の実施を強いられる展開も考えられます。